
[Alexandros]が12月16日からライブイベント「This Summer Festival 2014」を开催する。彼らが“フェス”と铭打って行うこのイベントは今回で9回目。东名阪での开催は今年が初めてで、各地のラインナップにはそうそうたるメンツが名を连ねている。
ナタリーでは结成して间もない顷からバンドがこのフェスを続ける理由を问いつつ、先日発表されたばかりのユニバーサルミュージックとの“パートナーシップ”についてもリサーチ。贪欲に、そしてまっすぐに目标へと进み続ける[Alexandros]の新たな动きに迫った。
また「This Summer Festival 2014」の出演者から[Alexandros]へのコメントも寄せられているので、こちらもあわせて楽しんでほしい。
取材・文 / 清本千寻 撮影 / 福冈谅祠
ディスフェスは昔から“フェス”です
——「This Summer Festival」を始めた経纬を闻かせていただけますか?

川上洋平(Vo, G) アマチュア时代、それこそ结成して2、3年くらいかな。その顷なんてまだお客さんも10人もいないぐらいだったんですけど、自分たちのバンド主催で「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」とか「FUJI ROCK FESTIVAL」に负けないフェスを作っちゃおうと思ったんです。まあでも初年度だからそんなにキャパ上げても仕方ないし、2000人くらいにしようって。
——最初から十分デカいです(笑)。
川上 当时よく行ってたライブハウスの店长に相谈したら、「2000人ね、うん……。最初はそんなにがんばらなくてもいいんじゃないの?」って言われて。
矶部寛之(B, Cho) そこで俺らは逆ギレ気味に「なんでそんなこと言うんですか! 目指さない限りは一生成功なんてしませんよ!」って(笑)。

川上 そしたらその店长は「确かにそうだ。その通りだ。がんばれ!」って言ってくれて(笑)。そこから毎年やるようになるんです。
——初回の会场はどこだったんですか?
川上 池袋のLive inn ROSAです。
矶部 最初はジャンル问わずにしようと思って、バンドだけじゃなくてダンスのユニットを呼んだりもしました。あと“フェス感”を出すために、场内で友达に枝豆を売ってもらったり(笑)。でも初回は友达とかも呼びまくって50人くらいの动员数でした。
庄村聡泰(Dr) ライブハウスでブッキングされてイベントに出てると「そろそろ企画やんなよ」とか言われることがあったりするんです。でもディスフェスは自主企画ライブじゃなくて、あくまで“フェス”のつもりでやってますから。
川上 そうそう。ディスフェスは昔から“フェス”なんですよ。
ステージ上ではバチバチ感を见せていきたい
——ディスフェスでは[Alexandros]がホストになるわけですが、そういう意识はありますか?
川上 あんまりないです。主催者だからといって、相手を立てたりとかはないですし、自分たちは対バンで成り上がってきたバンドだっていう自负があるので、むしろお客さんを夺っていかなきゃなって思ってます。
——対バンで成り上がってきたっていうのはずっと感じてますか?

川上 そうですね。先辈バンドの前座をやったりとか、イベントに出させてもらって、うちら目当てじゃないお客さんの目线をこっちに引き寄せるっていうことをアマチュア时代から今までずっとやってきたんですよね。だから自主企画のときもあまり寛大な心は持ってないですよ。逆に相手にもそう思っててほしい。楽しくワイワイっていうより切磋琢磨していきたいなと。
矶部 なあなあなイベントって観てても面白くないんですよ。さっき洋平も言いましたけど、裏でワイワイやったりとか仲いいっていうのは大いにやりたい。だからこそステージ上はバチバチ感を见せていきたいですね。
川上 うん。打ち上げは别でね。
いつかまたノンジャンルでもやりたいね
川上 今回andropさんだけ、まだ面识ないんですよ。
——意外ですね。フェスとかでは一绪になってますよね?
庄村 それもないんでマジで会ったことがないんですよ。
——そんなandropを今回なぜ呼んだんですか?
矶部 纯粋に気になってて。もちろん音源も聴いてますし。仲の良し悪しで选んだメンツではないので、単纯にやってみたかったんです。
——なるほど。各地のバンドの组み合わせはたまたまですか?
川上 スケジュールとかの兼ね合いもあった中で、なるべく面白い组み合わせになるようにしました。初日のKANA-BOONとゲスの极み乙女。っていうのも、ウチくらいじゃないですか?
——确かに(笑)。
庄村 ORANGE RANGEとキュウソとウチ、9mm Parabellum Bulletとクリープハイプとウチが一绪に観れる日っていうのもなかなかないんじゃないかなって。
川上 全部含めてすごい组み合わせになりました。ACIDMAN、androp、[Alexandros]の并びもかなり珍しいと思いますよ。
——全部头文字がAですよね。

一同 あはは(笑)。
庄村 それたぶん谁も気付いてなかったです(笑)。なんかしよう。その日は。
——ファイナルの日ですし。
庄村 AAAに出てもらうとか……。Aだらけだ。
川上 それ面白い!
矶部 テレビ出演とかで何度か一绪になってるし(笑)。
庄村 いつかまたノンジャンルでもやりたいね。绝対面白い。
矶部 ゆくゆくはやりたいよね。
うまいもの食ったら、もっとうまいものを食いたいじゃん?
——ちょっと话は戻るんですが、がんばっても动员が50人という时代もあった[Alexandros]がバンドシーンで今みたいなポジションに就くことになったきっかけって何かありましたか?

川上 デモテープを送って、事务所が见つけてくれたときですかね。それまでは人の目に触れる机会がすごく少なかったんですよ。俺らは一桁のお客さんを前にライブをしてたり、路上ライブをずっとやっていたバンドなので、100人以上入ってるライブハウスでパフォーマンスをしたことがなくて。でもライブで聴いてもらってその场ですぐCDが売れていくのを见て、やってることは间违ってなかったと思いましたね。「やっとお前らわかったか」って。あと、まだお客さんをそんなにたくさん集められてるとは思ってないです。
——それは今もですか?
川上 はい。武道馆でやろうがなんだろうが……だって1万人ちょっとですよ。まあそれはもちろんすごくうれしいことだし、光栄なこと、ありがたいことだとは思ってます。でも目标をどこに设定するかで変わってくると思うんですよね。やっぱり东京ドームだったり、もっと大きい会场はあるわけですから。まだまだ全然だなという気持ちでいます。
——动员が一桁の顷から今みたいなビジョンを描いていた?
川上 だって初回のフェスが2000人规模ですよ? 最初から「うちらはほかには负けない。一番だからよろしくね」って、バンドメンバーみんなを洗脳して……えーっと……诱って……。
矶部 (笑)。洗脳って言叶だと误解があるかもしれないですけど、そういうのって作词作曲家としては大事な能力だと俺は思ってます。突然なんの根拠もなしに「俺の曲は世界一だからついて来い!」って言われても普通は说得力があるわけないんですよ。でも洋平に言われたらなんかそうなれるって思えたし、それを今でも同じようにメンバー全员が思いながら、ここまで来れたのは本当によかったなって。少なくともここにいる洋平以外の3人はそういうパワーを持った奴と出会うことができる才能を持っていたわけだし、そのおかげでこの4人が出会うべくして出会えたんだと思ってます。
——今の立ち位置になることは想定内ということですね。
矶部 はい。ただ、周りの环境が変わってきたことについては実感も感谢もしてますけど、満足してるかって言われたら全然まだハングリー精神のほうが上回ってます。5万人10万人の前で演奏する姿を思い描きながらも、俺らはUK.PROJECTに入るまで9年くらいかかってますからね。こんなことじゃまだまだ満足できない。

川上 ここにいる4人って谁一人として梦は小さくないんですよ。「武道馆でよくない?」「日本だけでよくない?」とかそういうのは谁も思ってない。やっぱりみんな洋楽を聴いて育ってきたっていうのもあるし、単纯に世界に早く行きたいよねっていう话が当たり前のように出るんですよ。もっといろんなところでやってみたいねって。
庄村 単纯にどうせやるなら、そりゃ武道馆よりももっと大きいところ行きたいでしょみたいな。ある程度のうまいもの食ったら、もっとうまいものを食いたいじゃん?っていう、それだけのことですよ。普通そう思うでしょ? それをただ俺らはストレートに言ってるだけなんです。
どんどん状况が変わっていくのが楽しみ
——つい先日ユニバーサルと“パートナーシップ”を组むことが発表されて惊きました。この话が决まったときの感动みたいなものってありました?
川上 けっこう前からこの话はあったんですけど、我々インディーズでやってきた中で、メジャーへの憧れというか、こだわりがなかったんですよね。
——だからこその“パートナーシップ”契约ということですか?

川上 そうそう。武道馆をやって、次もっとデカいところでやろうと思ったときにスタッフの手が回らなくなって人を増やしたくて。本当にそれだけの话で、そんなに大げさなことだとは思ってないですね。
矶部 そのときどきで自分たちにとって一番いいなと思える相手とパートナーを组んでやっていきたいっていう、それだけなんです。
——じゃあ数あるステップのうちの1つというか。
矶部 だと思います。お互いにとってそうあるべきで、今回[Alexandros]と一绪にやれてよかったってユニバーサルに言わせたいし。そう言わせるのはバンドに课せられた使命だと思ってます。
——メジャーデビューできてうれしいみたいな、そういうテンションは特にないですか?
庄村 うーん、肩组んでみんなで喜ぶのは[Alexandros]っていうプロジェクトがもっと大きくなってからの话ですから。
川上 ユニバーサルと契约をする前に武道馆も海外での公演もやってるから、インディーズであることに全然不満はなかったですね。移籍じゃなくて、パートナーシップを组んでもらったという理由はそういうことです。

矶部 お互いがんばりましょうってね。结局バンドがしっかりしないとどこ行ってもダメなので、ユニバーサルがついてラッキーみたいな気持ちはないですね。どんどん状况が変わっていくのが楽しみだっていうのが一番しっくり来ます。
白井眞辉(G) まあ亲とか友达には说明しやすくなったよね(笑)。いちいちインディーズとメジャーの违いみたいなものを说明するのも大変だったから。
——よくある「メジャー行って変わっちゃったね」にはならないと。
川上 いや、いい意味で変えていきますよ。メジャーに行ったからとかは関系なく、もっと新しいことをやっていきたいという思いはずっとあります。海外でレコーディングしてみたいなとか。
どうやったら目指す场所にたどり着けるのかしか考えてなかった
——お话を伺ってると[Alexandros]は、结成の顷から高い目标に向かって着々と歩んできたというイメージを抱きました。その中で挫折したりすることはなかったですか?

川上 ないですね。
矶部 「ダメかも」と思ったことは一度もないです。サラリーマンをやりながらバンドをやっていた顷は、体力的にも精神的にも金銭的にもキツかった时期はありますけど。
——迷いはなかった?
矶部 なかったです。
庄村 俺は前のバンドで一旗扬げるのをあきらめようとしていた顷に[Champagne]に诱ってもらって加入したんですよ。さっきの「うまいものがあるならそりゃ食いたいわ!」っていうのは、やっぱり声を大にして言っていいことなんだよなって思えて、消えかけた火をもう一度点けてもらえた感じです。
——庄村さんは自分が加入する前の[Champagne]を観て、「これはイケるぞ」って闪いたということですか?
庄村 そうですね。俺は今までいろいろバンドやってきたんですけど、当时の[Champagne]を一番カッコいいバンドだと思ってたんです。そのバンドに诱われたわけだから、断る理由もない。だから入るために努力をいっぱいしましたね。
——[Alexandros]って改名とかそういうドラマはありつつも、ここまでまっすぐに进んできてますよね。
庄村 洋平のシンプルな欲望があって、それにみんな共鸣してここまでやってきましたね。
矶部 いかに自分に対してバカになるかが大事で、谁に何を言われても自信を持ってやっていけばいい。でもそれは决して简単なことではないんですよね。さっきも话したようにつらい时期もなくはないし。でもどうやったら目指す场所にたどり着けるのかっていうことしか考えてなかったから、それをあきらめるなんてことは一切头になかったです。
——自分たちがやってることは间违いなくカッコいいから、当然みんな见つけてくれるだろうという自信があった?
矶部 そうですね。そのための策を练っていたというか。それで路上ライブをしたりもしていたし。全部その欲からの连锁でここまでやってきました。
武道馆を軽い感じで使えるバンドってカッコいいじゃないですか
——来年7月に予定されている2度目の武道馆ライブについて、何か思い入れはありますか?
川上 ないです! なんかすみません(笑)。
——やっぱり(笑)。

庄村 いろんな思いを持って武道馆に足を运んでくれるお客さんもいるだろうけど、ライブが终わったときに「全然违ったなあ、ただのいいライブだったわあ」みたいに思ってくれたらいいですね。
川上 苦节何年でやってきて、念愿の武道馆ですっていうのもカッコいいと思うんです。でもそこを目标にしちゃうとそれ以降の出来事がぼやけていっちゃう。
矶部 そうだね。俺らがこれからも进んでいく道筋の中で、武道馆に対して特别视しているかというと……。改名だって、たまたまタイミングが合ったっていうだけなんですよ。このスパンでまた武道馆公演をできるのはもちろん光栄ではありますけどね。でも简単に武道馆という会场を使えるのもステイタスの1つだと思ってます。
庄村 将来的には武道馆を軽い感じで使えるバンドになりたいんですよ。そんなバンドカッコいいじゃないですか。
まだまだ渇きのほうが大きいです
——[Alexandros]って[Champagne]时代からよくも悪くもドラマチックなストーリーみたいなものが希薄ですよね。バンドが経てきた挫折や成长过程を表に出さず、ただただカッコいい姿を见せ続けているだけというか。
川上 うちらが目标にしているのは「Glastonbury Festival」に出たいっていうことだけなんですよね。そこにたどり着くまではどんな场所でもどんなお客さんの前でも最高の曲を作って最高のライブをするだけ。もちろんドラマチックな场面を作ることはできたと思うんですよ。それこそ改名だったりとかいろんなことがあったわけですけど、それを1个1个売りにするのはカッコよくないなと思うので、自分たちからは提示しないですね。见ているお客さんたちが思い描くぶんにはいいんです。でも今この段阶で俺らが振り返っても……。
矶部 轨迹を振り返るというのは、“たどり着いた”っていう意识があるからだと思うんですよ。バンドの成长とか歴史に対してはまだまだ乾きのほうが大きいですね。
川上 そうだね。俺らはまだまだ満足してないです。

