昨年末にもここに書いたとおり、僕にとっての2018年は『天気の子』の制作だけの1年でした。企画も脚本も絵コンテも考え尽くしたつもりの作品ですが、それでもまだ、来年夏の公開を想像することはどこか怖いです。『君の名は。』の公開後にはずいぶんたくさんの人たちから「新海さんは次の作品が勝負だね」との言葉をいただいたのですが、「そう言われればまあそうだよな」という気分が、ずっと薄く残っているのかもしれません。
でも──とも思います。思い返してみれば、僕はデビュー作でも「次こそが本当の勝負だよ」と言われ、その後16年間、作品を出すたびに同じ言葉を言われ続けてきたのです。その言葉に「どこまでやれるのか見てやろう」という淡い期待がわずかでも含まれているのだとしたら、『天気の子』の後も、「本当の勝負は次だよ」と言ってもらえるだけでもう十分なのかもしれない。それを繋げていくしかないのかもしれない。思い切ってそんな気楽さで、制作の残りの半年に全力を注ぎたいと思います。
ともあれ『天気の子』は、技術気力実力ともに充実したチームのおかげで過去作よりももっと見応えのある映画になるはずです。詳細はもうしばらくは言えませんが、とても面白い映画になるはずだと、僕としては思っています。もはや年に1度しか更新しないこのHPを覗いてくれるような皆さん(書き込んでいただいたコメントもすべて嬉しく読んでいます)ならば、新しい要素にも過去作から連続したテーマにも、たっぷりと気づいてもらえるはずです。僕自身が今一番観たい映画を全力で作っています。それが、あなたの「観たい」とすこしでも多く重なりますように。2018年もたいへんお世話になりました。2019年も、皆さんにとって素敵な年でありますように。