スポーツ報知大阪版
山田孝之インタビュー「クローズは卒業」
不良高校生の青春を描いた大ヒット映画の続編「クローズZERO2」(三池崇史監督)が11日に公開される。前作で鈴蘭高校の頂点に最も近い男・芹沢多摩雄を演じ、今作でも好演している俳優・山田孝之(25)が、このほどスポーツ報知のインタビューに応じた。普段は物静かだが「やりたくなかった」続編に挑んだ覚悟、「クローズは卒業」と、燃え尽きた今作への入れ込みようを飾らない言葉で語る口調は、次第に熱を帯びていった。
撮影前から伸ばしている長髪に無精ひげ。芹沢を思わせる風ぼうを残したまま、山田は現れた。前作では滝谷源治(小栗旬)との壮絶な戦いに敗れた。役どころに心からほれ抜いて演じ切ったが、続編への思いは意外なものだった。
山田「やりにくいというか、やりたくなかった(きっぱり)。パート1でキャラクターをつくったのに、今度は違う状況で同じ人物を演じろと言われたら無理があるんです。それに、最初の段階で三池さんが(スケジュールの都合で続編を撮るのは)無理って話だった。芹沢を格好良くできたのを引き出してくれた三池さんが監督をできることになって、やりましょうと言いました」
今作では「殺しの軍団」鳳仙学園との抗争がぼっ発。芹沢は俯瞰(ふかん)した立場から情勢を見つめる。一度リセットしてから役を再構築するのは容易ではなかった。芹沢は、山田にとって理想の男。役を離れ、プライベートに戻った時でも役柄の魅力に浸っていた。
山田「役がほぼ100%できあがってるけど、別の良さ、面白さを出したかった。芹沢は絶対オレがやるべきで、ほかの人じゃここまで魅力的にならなかったって信じてないとできないです。撮影が終わっても役を引きずりますし、意識して引きずろうとする自分もいます。撮影中は、価値観やしゃべり方、立ち居振る舞いも役に自分が近付いていく。次の役まで飽きないですね」
18日には京大生に扮したコメディー「鴨川ホルモー」も公開。演技の振り幅の広さを感じさせるが、役者としての転機は「クローズ」への出演だった。
山田「(出演によって)周りのイメージが変わったんじゃないですか。それまでこういうイメージは絶対なかっただろうし、クローズで僕に興味持ってくれた人もいるから、今度は別のインパクトで崩したい。だから、コメディーをやったんですけど、すぐ2が来て、ちょっとクローズのイメージが強すぎるかな」
2作目があれば、ファンは続編を期待してしまうが。
山田「僕は望んでないんです。もうあんまり得るものがないと思う。『クローズ』を卒業? そうですね。スピンオフなんて絶対やりたくない。(今作が)集大成? 何とか絞り出せたかな。(観客は)ヒットしたから2やるって思うから、そうではなかったと言わせたい。やるからには本気でつくる気持ちがあったし、それは出てると思います」
飾らずゆっくり、時に熱く言葉を選びながら作品への思い入れを語った山田。今後の新たな挑戦が楽しみだ。
◆山田孝之(やまだ・たかゆき)1983年10月20日、鹿児島県生まれ。25歳。99年日本テレビ系ドラマ「サイコメトラーEIJI2」でデビュー。2001年にNHK連続テレビ小説「ちゅらさん」で人気を得て、03年にフジ系「ウォーターボーイズ」でドラマ初主演。TBS系ドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」、映画「電車男」「手紙」などに出演。18日公開の映画「鴨川ホルモー」(本木克英監督)では主役を演じている。7月には「MW―ムウ―」(岩本仁志監督)が公開予定。
〇ジェスチャーを交えて役柄への思い入れを語る山田孝之
